入れ歯について
長い人生の中で、お口から食物を食べることは、重要なことです。
何かの原因で歯を失ってしまっても、入れ歯を使って食べたり、会話ができたりすることで、食生活が豊かになることはもちろん、咀嚼することで、認知症の発症を遅らせることもあります。
- 歯が抜けて、インプラントではなく、入れ歯を使おうと思われている患者様
- 残りのご自分の歯を大切にケアしつつ、もっと快適に入れ歯を使うようになりたい患者様
- 使っている入れ歯が痛かったり、よく噛めなかったりして困っている患者様
- なるべく目立たない入れ歯を希望されている患者様
上記のような希望や悩みをお持ちの患者様は、お気軽にご相談ください。
入れ歯は、万能ではありませんが、使い方によっては快適な使用感を得ることもできます。入れ歯が成功しても、それを支える残りの歯や歯肉の健康が保てなければ、お口の健康を保てません。患者様それぞれの状況をふまえて、当院の治療方針が患者様のご希望と合致し、患者様の健康な生活をできるようにお手伝いをしていきます。
全身の予防にもつながる
入れ歯治療
物を噛む動作は、脳へ刺激を与えるという大切な働きを持っています。
咀嚼に必要な歯を失うと、歯につながっていた神経も失われ、脳への刺激がなくなってしまうことで、認知症を促進させると言われています。しかし、お口に合ったしっかり噛める入れ歯を装着できれば、脳への刺激を継続できることも言われています。
奥歯で噛むトレーニングを行うことで、高齢者のQOLは向上した症例は多数存在します。
また、しっかり噛めるようになると、それまで衰えていた顔の表情筋や咀嚼菌や顎の骨が鍛えられ、エイジングケアも期待できます。
しっかり噛むということは、唾液分泌の促進にもつながり、むし歯や歯周病予防にもつながりますから、糖尿病や心臓病・肺炎・脳卒中・動脈硬化・早産・低体重児などへの影響も予防できるのです。
入れ歯の種類
当院では、保険適用のレジン床義歯をおすすめしています。患者様が望んでいない場合は保険適用外の義歯をおすすめすることはありません。保険適用の入れ歯でも、慣れるまでは違和感があることもありますが、調整などをすることで、日常生活に支障なく使えるようになります。
レジン床義歯(保険適用)
歯肉の部分はレジン(歯科用プラスチック)で、部分入れ歯の場合は金属のバネのような形の留め金を歯に固定して着脱させます。厚みがあるので、食べ物の温度が分かりにくいことや、話しにくいことがあります。プラスチックなので、強度が金属より落ち、壊れることもありますが、修理は比較的簡単にできます。
金属床義歯(保険適用外)
歯肉の部分は金属で、保険適用外(自費診療)です。金属で耐久性があり、熱伝導も良いので、食事も楽しみやすく、金属で薄く作れる分、違和感も少なく済みます。修理はレジン床より時間がかかります。
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メリット
- 強度が非常に高く壊れにくい
- 粘膜に触れる床部分が薄く、装着時の違和感や圧迫感が少ない
- 金属が持つ熱伝導率の高さにより、食べ物や飲み物の温度と味が分かりやすくなる
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デメリット
- 自費診療になり、保険診療の入れ歯よりも費用が割高
- 金属アレルギーの患者様には適していません
ノンクラスプデンチャー(保険適用外)
金属のバネがない入れ歯です。
弾性がある特殊な素材で作られており壊れにくく、歯茎にフィットします。残っている歯にバネをかけることもないので、見た目に入れ歯と分かりづらく、残っている歯に負担をかえることもありませんし、金属アレルギーの方にも対応可能です。症例によっては適応できないことがありますので、確認が必要です。
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メリット
- 金属の留め具がないので目立ちにくく、自然な見た目を演出できる
- 金属を一切使用しておらず、金属アレルギーの患者様も安心
- 歯茎にフィットして装着感が良く、長時間の使用でもストレスになりにくい
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デメリット
- 保険が適用されないので、治療費がかかる
料金案内
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金属床義歯275,000円
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ノンクラスプデンチャー110,000円~275,000円
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レジン床義歯保険適用
副作用・リスク
塩素系(アルカリ性)の洗浄剤を使用すると、入れ歯の変色や弾性が低下する恐れがあり、強い力が加わると割れてしまうときもあります。
入れ歯の劣化を防ぐには、中性洗浄剤の使用がおすすめです。
より良い環境をつくるために
入れ歯は、作製し終えたらそのまま簡単に使えるというものではありません。
やわらかい歯肉の上に、プラスチックや金属が乗り、その上から噛む力も加わりますから、装着後は痛みが出ることもありますので、それを軽減させるために調整が必要になります。
入れ歯は、材料の特性上、完成時に少し変形して小さくなるので、削って調整しないと合うようになりません。食事や会話で使うことによっても、痛みが出たりしますが、痛みが出る場所は患者様によって異なりますので、何度も確認しながら調整します。
痛みに慣れるだろうと軽く考えず、しっかり調整するようにしましょう。
また、残っている歯がある場合は、噛むときの負担などで歯周病が悪化したりすることもありますので、残っている歯の定期的な歯石除去など、定期的にチェックも必要です。
残っている歯を大事にすることで、歯茎の下にある骨の吸収を抑え、入れ歯が吸着しやすく、長く使えることにもつながりますので、入れ歯のお手入れなども兼ねて、定期検診は必ず受診しましょう。
また、入れ歯も自分の歯と同じようにお手入れが必要です。
入れ歯を掃除しないと、食べかすが溜まり、細菌が繁殖したり、細菌の塊が入れ歯に沈着して石灰化して、自分では汚れが除去しきれなくなったりします。これにより、誤飲性肺炎のリスクも高まりますので、食事の後には日頃からお手入れするようにしてください。